2009年11月23日

山田卓司館・その1

山田卓司館・その1最初に山田卓司館構想に触れたのは秋山ブログでのこの記事へのコメントで、2007年10月31日のことだったと思う。

以来僕はあちこちでこの話をちょろちょろ言ってきたけれど、当初街の活性化は「大丸だのみ」一色で、真剣に耳を傾ける人は皆無だった。
ところが、今年一月の「大丸撤退表明」。市役所の人達は呆然としてしまって皆お手上げ状態に陥った。しかし僕にとって大丸撤退はすなわちチャンス到来であった。
僕は大丸が街を活性化させるなんて一度も思ったことはない。丸井や西武が撤退した街で大丸が成功するわけが無い。メイワンと遠鉄百貨店でもうキャパは必要十分なんだから。
郊外にあれだけたくさんのショッピングモールが出来てしまったらもう街中に用は無い。天竜区に住んでいる立場から言ってイオンやサンストやプレ葉は極めて歓迎すべき施設なのだ。
だから浜松の人達はもう街中に集まってはこない、少なくともショッピングのためには。
街中に人を増やしたいのであれば市外から呼び込むしかない。すなわち「観光化」だ。
その視点で浜松をみれば「音楽」「バイク」「家康」「うなぎ」等、コンテンツはかなり充実している。数年後には新築されるであろう「新・美術館」も金沢21世紀美術館の手法を見習えば集客力を期待できる。僕達「都心未来創造会議」の提言も「観光化」へのシフトを謳うことになるだろう。
しかし、それは随分と気の長い話だ。街は加速度的に衰退している。嘆きの声は断末魔に近い。悠長に観光都市になるのを待っているあいだに取り返しのつかない状態になってしまうのではなかろうか?
そこで「山田卓司館」だ。
浜松では「TVチャンピオン」がまともな時間帯に流れていなかったので当地での知名度は意外と低いが、3年前の浜松市美術館での個展を見た人であればその作品の魅力と威力に疑念を挟む人はいないだろう。まぎれもなく日本一のプロモデラーだ。
僕は浜松の中心部を救ってくれるのはこの人しかいないと思っている。そんなわけで今年夏、初めてご本人にコンタクトを取り、僕の考えを伝えてみた。結果は「好感触!」
もともと山田卓司さんは情に熱い人だ。そうでなければあんな作品は作り出せない。郷土愛ももちろん強い。ご本人のお墨付きを得て、僕は実際に「山田卓司館」になりうる場所を探し始めた。

山田卓司館・その1一方、建築士会浜松支部では、取り壊される予定だった鴨江別館の保存活動を展開し、「耐震補強して保存」という方針を獲得していた。今現在耐震補強設計の真っ最中であり、提出を求められている「活用案」を纏めようとしているところなのだった。
市役所に勤める友人から「鴨江別館は?」と言われ、僕は「鴨江別館、いいかも。」とすぐにピンと来た。実はこの案は都心未来創造会議で初めて「山田卓司館構想」を発表したとき同じ委員の佐藤和枝さんが「鴨江別館は?」と真っ先に口にしている。同じ提案を連続してされるということは意味深い。
さっそく卓司さんに報告。気に入ってくださった。新しい建物よりもむしろ昭和初期の建築が情景王・山田卓司にはふさわしい。話は決まった(勝手に!)。
僕は早速建築士会にコンタクトを試み、昨日22日、士会側責任者の伊藤さんが話を聞きにわざわざ我が秋月舎まで来てくださった。保存活動、心から感謝です!
両者はこのとき初めて接点を持った。合流、という感じか。
鴨江別館は来年4月から耐震補強工事に入り、再来年4月にはリニューアルオープンすることになるだろう。あと16ヶ月だ。つまり、16ヵ月後には「山田卓司館」をオープンできるということだ。
浜松市に世界の裏側からも人を招き寄せるために、どのような運営をすべきかを考えなければ。(まだ何も確定していませんが・・・)
皆さんのご意見をお待ちしてます!








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Posted by ドラマーな建築家 at 21:26│Comments(8)政治・行政

この記事へのコメント
ブログ読んだだけでも行ってみたくなる企画ですね。

運営について・・・

メガスター大平貴之氏のプラネタリウムを提案いたします。

ぜひ星空の下での情景を構想してもらえませんか?
Posted by おおさわおおさわ at 2009年11月24日 07:42
おおさわさんこんばんは。コメントありがとうございます。
知ってますよメガスター。以前NHKかどこかで見ました。確かに見てみたいですねー。しかし、ただプラネタリウムだけなら他でメガスターを導入しているところと同じなんで、やはり卓司さんの作品と絡めるといいのかな?逆に双方の良さを鈍らせちゃうかな?
Posted by ドラマーな建築家 at 2009年11月25日 00:41
山田卓司の作品は、あったかーい家族の繋がりが、懐かしさとともに表現されています。
正直なところ、内山さんに紹介されるまで知りませんでした。
一方中心市街地の地盤沈下は壊滅的です。
従来の小売業で、昔のような街のにぎわいを取り戻すのは非常に困難と思います。

課題解決の一つとして「山田卓司館構想」は外から人を呼ぶにはふさわしいでしょう。もちろん外国人も視野に入れてです。中国経済の発展により、中国人の旅行客はますます増えると思われます。お金もたくさん落としていくでしょう。中国人はじめ、多様な人々の来訪を想定したインフラ整備も急務と思われます。

これからの街づくりは開発ではなく、保存でもなく活かして使い込むことと思います。そういうう意味では「鴨江別館」は適しています。

「山田卓司館構想」応援します。
Posted by 佐藤和枝 at 2009年11月25日 08:48
佐藤さん、コメントありがとうございます。
「活かして使い込む」---その通りですね。
鴨江別館は市民の力で保存が決定しました。素晴らしい!
しかし、その耐震補強には億単位の費用が掛かります。「山田卓司館」がこの経費をどれくらいのスピードで回収できるのかは今後の検討を待たねばなりませんが、どの道「保存」はするんですから使う税金の回収の仕方としてはかなりいい使い道だと思います。
来年度の税収は100億単位で減っちゃいますからね。
昨日の会議、実は今ひとつピンときませんでした。仕組みが難しいというか、これでホントに活性化するんだろうかと。人は来るのかと。
場所がどこになろうと「山田卓司館」は確実に観光客を見込めるコンテンツです。本当は中心部じゃなくてもいいんですが、中心部の活性化のために「卓司さん、たすけて」というのが本音ですね。
Posted by ドラマーな建築家ドラマーな建築家 at 2009年11月25日 13:26
「山田卓司館」大賛成です。
私もTVチャンピオンで山田さんを知りました。
浜松にこんな人がいたなんて‥‥。
浜松市美術館の個展で実物を見ましたが、懐かしい情景と超リアルな作りは感動の域です。

子供からお年寄りまで幅広い層に受け入れられるんじゃないですか!
Posted by マガジンワークス at 2009年11月26日 22:38
マガジンワークスさん、コメントどうもありがとうございます。
個展で一番印象に残っているのは、戦車のジオラマを70過ぎぐらいのおじいさんが、すっごく真剣にじーっと観てる(睨んでる)姿です。たぶん、子供のお供で来たんだと思うんですが、激しく心を動かされてるようでした。
それをみて「これだよ」と思った次第です。
卓司さんは情景の切り取り方が素晴らしいですよね。感性というか。
根っからの浜松人で、まさにものつくりの街の象徴のような人だと思います。お話してみるとやっぱりすごく温かい人ですよ。
Posted by ドラマーな建築家ドラマーな建築家 at 2009年11月26日 23:15
山田卓司館の完成心待ちしています。

人形作家といえば、徹子の部屋に4回出演した与勇輝さん(神奈川県川崎市)や、同じく2回出演した高橋まゆみさん(長野県飯山市)がいますが、何れも”人形”が主役に感じる作品です。
山田卓司さんのような”縮尺された昭和の情景”全体が主役の作品はじっくりと味わいたいです。来館者がのぞき込んでいる位、低い位置に展示する方が良い味わいに感じます。

アニメなどで地方活性を図っている自治体(例;境港/ゲゲゲの、富山県氷見市/忍者ハットリくん)もありますので、浜松市が山田卓司さんの情景人形で活性される近い未来を期待します。

出来れば、母(85歳;大正15年生)が生きているうちに見せたいので予定通り(来年4月)の完成を希望します。
 以上
Posted by ルパン八世@東京在住 at 2010年12月14日 12:06
ルパン八世さん、コメントありがとうございました。
お返事が遅れて申し訳ありませんでした。
与勇輝さんも高橋まゆみさんも存じ上げなかったので、調べてみました。とても参考になりそうです。ぜひ行ってみたいと思います。
行ってみたいところはたくさんありますね。
来年4月のオープンは難しそうですが、できる限り来年中にはスタートを切りたいと思います。それまでお母様に頑張っていただきたいと思います。いやいやもっと、100歳ぐらいまで!
Posted by ドラマーな建築家ドラマーな建築家 at 2010年12月24日 10:52
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