2007年08月17日

追悼マックス・ローチ

追悼マックス・ローチローチが83歳で亡くなった。
1990年の秋、僕は伊豆シャボテン公園でマックス・ローチ4をたったひとりで見に行った。なぜ一人だったのかもう思い出せないが、とにかく僕は動くローチを見たい一心で東京から一人で伊豆に出かけていった。
会場に着くと、いきなりローチに遭遇した。公園内をローチは一人でうろうろと歩いていて、出店を覗いたりしていた。黒いコートにサングラス姿のその黒人がマックス・ローチだと気が付いている人はまったくいなかった。僕は恐る恐る声を掛けて見た。
「ミスター マックス・ローチ?」
たぶん、そんなことを言ったはずだ。そのときの彼の返答を僕は覚えていない。完全に舞い上がっていた。にこやかにサインをしてくれて、再び公園の人だかりに消えていった後姿だけなんとなく覚えている。
そのときの演奏は1977年の「Calvary」というアルバムの内容に近く、トランペッターもそのアルバムと同じセシル・ブリッジウォーターだった。クリフォード・ブラウンと組んでいた頃のようなタイトにスイングするドラミングではなく、叩きまくるスタイルに変化していた。
僕は一番前の席でかぶりつきで見ていた。元気なローチを聴くことができて満足していた。ローチ4が「ブルースマーチ」を演奏し始めた。それはアート・ブレイキーへの追悼だった。そのつい一週間ほど前にブレイキーは死んでしまったのだった。ローチとブレイキーはまったく演奏スタイルは違うが、クリフォード・ブラウンを奪い合った(?)仲だ。そのローチの寂しさがダイレクトに押し寄せてきてダーダー泣いた。あんまり泣いているのでセシル・ブリッジウォーターにしげしげと見られたほどだ。
その不滅のマックス・ローチもついに逝ってしまった。寂しい限りだ。ただ職人のようにバップドラミングを叩いてきただけの人ではなかった。いろいろな局面でJAZZの先頭に立ってきた。政治的、宗教的な活動も多かった。そのため嫌う人も少なくなかった。そういう激動の道を83歳まで貫いた偉大なドラマーだ。
幾多の歴史的な演奏の中からひとつだけ名演を挙げるとすれば、Time版「Sonny Clark Trio
追悼マックス・ローチ
かな。ローチは後続のフィリー・ジョー・ジョーンズ等に比べるとソロのスイング感に欠ける、などとときどき言われたりするがこのアルバムの中のローチはスネアドラムひとつで究極のバッキングを演奏している。かつてバド・パウエルをサポートしたようにクラークを強烈にプッシュしている。
考えてみればJAZZの巨人たちは軒並みこの人のお世話になったんだなぁ。パーカーもパウエルもクリフォードも。
本当に本当に残念だなぁ・・


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Posted by ドラマーな建築家 at 23:59│Comments(2)JAZZ

この記事へのコメント
今度、FM-Hi! 「Sound Space Life Time」で、マックス・ローチ追悼特集をやる予定です。詳しくは、DotCoolのマスターまで。
Posted by こまいぬ at 2007年09月05日 01:45
コメント承認の仕方がわからず、今まで放置してしまいました。すいません。
Posted by ドラマーな建築家 at 2008年05月09日 12:20
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